Report

《 2019.3.18 》

介護施設で事故死、1年で約1500人 「誤解を招く」との批判の声も


《 14日の有識者会議 》

安全性を高めるための更なる努力は非常に重要だが、数字だけが1人歩きしてしまう恐れもある − 。専門家からはそんな懸念の声が続出した。

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厚生労働省は14日の有識者会議で、介護施設の安全管理体制や発生した事故、その報告方法などについて調べた初の全国調査の結果(速報値)を公表した。2017年度の1年間に転倒や誤嚥などの事故で亡くなった入所者が、特別養護老人ホームと介護老人保健施設で少なくとも1547人いたと報告している。
 
介護報酬改定検証・研究委員会資料
 
調査は昨年10月に全1741市区町村を対象に実施された。
 
施設には事故が起きた際に自治体などへ報告する義務がある。今回の死亡者数は特養・老健による報告を積み上げたもの。回答した市区町村が67.3%(1173市区町村)だったほか、「何を事故として扱い報告の対象にするか?」という基準も施設によって大きく異なっているため、実際にはさらに多い可能性もある。
 
調査結果によると、特養では772施設で1117人が、老健では275施設で430人が事故で亡くなっていた。例えば特養について、報告すべき事故の範囲を「定めていない」と答えた市区町村は41.6%にのぼっている。
 

「現場を萎縮させてしまう」

 

「年をとって体が衰えるとどうしても転倒や誤嚥は起きてしまう。どこまでを事故として扱うべきか、という判断は非常に難しい」
 
14日の有識者会議では、施設の安全性をさらに高めて利用者を守る取り組みの重要性が共有されたが、こうした指摘も相次いだ。「在宅でどれくらいの事故が起きているのか? そうした比較をせずに施設の事故だけを取り上げるのはナンセンス。誤解されないようもっと気をつけるべき」。そんな批判も噴出した。また、「数字だけが1人歩きすると現場が萎縮してしまう。リスクがあることはなるべくやらせない、という空気が支配しないよう配慮すべき。入所者の尊厳を重視したケアの実践が難しくなる」との意見も出た。
 
厚労省は今回の調査結果を今後の施策の展開に役立てたいとしている。専門家からは、よりきめ細かい調査の実施や報告すべき事故の範囲の統一などを求める声があがった。