広告

Report

《 2019.2.20 》
= 社保審・介護給付費分科会 =

通所介護のアウトカム評価、来年度から見直し検討 厚労省 課題を調査へ


《 社保審・介護給付費分科会 13日 》

厚生労働省は2021年度に控える介護報酬改定を見据え、通所介護のアウトカム評価「ADL維持等加算」の見直しに向けた検討を来年度から始める。日々のサービスに与えている影響、現状の課題などを把握するための詳細な調査を、民間のシンクタンクと連携して実施する。4月から具体的な準備を始めていく。来年3月に明らかにされる結果は、2020年度から本格化する改定をめぐる議論に大きな影響を与えることになる。
 
2019年度調査の実施内容について
 
13日の社会保障審議会・介護給付費分科会で説明し、委員から大筋で了承を得た。今後、専門家とともに協議を重ねて事業所へ配る調査票を8月までに作成し、9月にも実施に踏み切る計画だ。老健局の担当者は、「次の改定に向けて大きく議論していく」と述べた。

広告

通所介護の「ADL維持等加算」は、2018年度の改定で創設された新しいインセンティブ。評価期間の中で利用者のADLを維持・改善させた度合いが一定のレベルを超えている事業所が、次の年度に少し高い対価を得られる仕組みだ。自立支援や重度化防止につながるサービスの展開を促していく目的で導入された。
 
政府はこうした施策の方向性をさらに推進していく構えをみせている。官邸で主導する「未来投資会議」の昨年末の報告書には、「介護事業者に対するインセンティブ措置の強化を検討する」と明記した。健康寿命の延伸を最重要視する厚労省も、今年夏に打ち出す新たな計画(健康寿命延伸プラン)に「介護報酬上のインセンティブ措置の強化」を盛り込む方針だ。
 

 根強い“改善偏重”への懸念

 

来年度の調査は通所介護、地域密着型通所介護が対象。結果は2021年度に講じられる具体策のエビデンスとなる。ポイントは算定申出に至るプロセスでの課題の抽出。現行の「ADL維持等加算」はルールが複雑で縛りも多い。関心があっても着手に至らない、あるいはBarthel Index(*)を測りつつ様子をみている事業所が大半だ。インセンティブを十分に機能させる観点から要件をどう改めるか、単位数の引き上げとあわせて最大の焦点となる。
 
Barthel Index(BI:バーセルインデックス)
広く用いられているADLを評価する指標。食事、車いすからベッドへの移動、整容、トイレ動作、入浴、歩行、階段昇降、着替え、排便コントロール、排尿コントロールの計10項目を5点刻みで点数化し、その合計を100点満点で評価する仕組み。ADL維持等加算では、事業所の成果を図る指標として用いられている。
 
「利用者のQOLを向上させること、生きがいを持ってもらうことも大事。必ずしも加算の算定につながらない利用者が不利益を被らないように配慮すべき」

《 社保審・介護給付費分科会 》

13日の審議会では、委員の1人が厚労省にそうクギを刺した。業界ではクリームスキミングを懸念する声が根強く、要介護度・ADLの“改善偏重”やレスパイトの軽視を批判する人も少なくない。サービスのあり方、公平性を問う論争に発展する可能性もあり、厚労省の舵取りに大きな注目が集まりそうだ。
 

 生活機能向上連携加算も調査へ

 

厚労省はこのほか、前回改定で外部のリハ職との連携に基づく支援も評価に加えた「生活機能向上連携加算」についても、来年度に調査を行う方針を示した。機能訓練の実施方法、外部機関との連携状況などを詳しく把握し、2021年度の改定で改善できる点を見出したいという。また、機能訓練指導員の対象資格としてはり師・きゅう師を認めたことの影響も調べるとした。